音楽療法を取り入れた「音体操」の研修テキストを自費出版で五百部作った。その付録のCDの制作費が本より高くなった。たった十五分のCDなのに、著作権に支払った金額が十万円で、一枚当たり二百五十円になった。
お年寄りが懐かしいと感じ、楽しく口ずさめる曲ということで、昭和初期のヒット曲、あそび歌、ジャズなど十曲を選び、JASRAC(日本音楽著作権協会)に出かけた。
担当の女性が、持参した曲目リストを確認し、「この五曲については『専属曲』といって、直接レコード会社に使ってもよいか、いくら使用料を払うか確認していただきます」という。歌詞を本に掲載するための使用料は三万円弱。ほっと胸をなでおろしたが、五曲についてはこれから交渉。各レコード会社の担当者を紹介していただいた。
値段を聞いて驚いた。「下町の太陽」が約二万円。「一番しか歌わないんですよ…」「一番だけでも値段は同じです」。次の会社には先手を打って、「予算は三万円。だめなら曲をカットします」と強気に攻めた。すると、担当者は「著作権を値切るなんて初めて聞いたなあ」。私も「良質な社会教育を安く提供するため、音楽療法にぜひご協力ください」と頼んだ。外国曲はさらに複雑だった。「ドレミの歌」については後日、日本語訳の管理会社にあらためて許可申請した。
というわけで、こんなに贅沢(ぜいたく)なCDを作ってしまいました。著作権に詳しかったら、もっと安上がりの選曲をして、でも、効果の少ないCDを作っていたかもしれません。デジタル化は音楽の教科書などでも進んでいます。著作権の新しいルール作りが必要だと思いました。(ささき・なおこ=音あそび教室代表) |