「まるで寅(とら)さんですね」。名古屋市から講師として参加した金子一也さんが、私の姿を見て言った。東京都文京区本郷でシニア対象のパソコン講座を開催した後、スタッフ一同で、金色の絨毯(じゅうたん)となったイチョウ並木を歩いた。帽子でもかぶればまるで映画の一シーン。私は、寅年生まれということもあって、寅さんが大好きだ。
「音あそび教室」を各地で開いている私のトランクには、寅さん同様、商売道具がぎっしり。打楽器に音体操の手ぬぐい、スポンジボール、音バトン…。これらに、パソコンとポータブルスピーカーが加わる。そこで大きなキャスター付きのトランクを利用。まさに、“女はつらいよ”状態だ。
移動時に役立つのが、東京メトロの「バリアフリー便利帳」。はがきサイズで、地下鉄駅で入手できる。便利帳には駅ごとにエスカレーターや車イス用トイレ、エレベーターなどの有無と場所が示されている。便利帳を見て、トランクを転がしやすいルートを選ぶ。そうしていると、エレベーターでベビーカーを押すお母さんや車イスの方々と一緒になる。移動の苦労話があいさつ代わりだ。
元気な時には気づきにくいことがある。注意してみると、歩道にも危険がいっぱい。公園の入り口も車イスでは通れない所が多い。車イスに乗って移動の難しさを体験する、交通バリアフリー教室が東京の京成金町駅で行われ、参加者の意識が高まったという。
IT(情報技術)を使って、弱者に優しい町づくりに住民の視線を生かしてはどうか。住民が、近所を歩いて見つけた危険な場所を携帯電話で撮影し、東京メトロや役所のホームページに送信する。そんなマップ作りを通して深める住民との絆(きずな)が、安全な町をはぐくむことだろう。(ささき・なおこ=音あそび教室代表) |